里芋の季節になると小さい頃を思い出す。
うちの味噌汁は毎日必ず芋が入っていて、そのせいか味噌汁がそんなに好きじゃなかった。
普段はじゃがいもだけど、秋になると里芋に変わる。
子どものころの自分にとって秋は最悪な季節である。
ただでさえじゃがいもがおいしいと思えなかったのに、それがもっと嫌いな里芋に変わり、しかも具材にこれまた嫌いな山のきのこが加わる。
父も祖母も山が好きな人で、秋になると張り切ってきのこ採りに出掛けていた。
山のきのこは味が濃い。土の匂いがすごくする。
好きな人からすればすごく贅沢な味噌汁を食べていたかもしれないが、とにかく秋の味噌汁はしんどい思い出しかない。
40過ぎてようやく里芋がおいしいと思って食べれるようになった。栽培物のなめこなら食べれるようになったけど、たまに実家で山のなめこの出されるとまだちょっときつい。
そんなものだから、味噌汁がおいしいと食べれるようになったのは実家を出て自分で作るようになってからである。
最初はスーパーで買った味噌で作っていた。でもなんだかしっくりこない。
それで実家から分けてもらった味噌で味噌汁を作ってみたらこれがすごくおいしい。
実はこれまでずっと自分がおいしい味噌汁を飲ませてもらっていたことにようやく気付いた瞬間である。
現在は私が作った味噌汁を息子がおいしいと言って飲んでくれている。
おいしいと言ってくれることはありがたいが、その歳で味噌汁のおいしさが分かるのかと感心してしまう。
そして味噌汁を飲んでほっとする瞬間はとても幸せである。
実家の味噌汁で好きだったものもある。それは貝の味噌汁。
さすがにしじみや稚貝の味噌汁には芋が入らなかったし、貝が好きということもある。
今では実家からもらった味噌で好きな具材を入れておいしく飲めている。
ちなみに息子に「好きな味噌汁の具材ある?」と聞いてみたら
「特にない。何でもおいしい」とのこと。
なんか嬉しいような複雑なような。
これから寒くなってますます味噌汁が身に染みて美味しく感じる季節。
おいしい味噌汁飲んで元気に過ごしたい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。