今回はカズオ・イシグロ著の「わたしを離さないで」を読んでみました。
読んだ後に知りましたが、ドラマ化もされた有名な話だったんですね。
カズオ・イシグロ作品は以前「クララとお日さま」を読んだので、これで2冊目です。
今回の「わたしを離さないで」はすごい引き込まれる作品でした。
人間関係の描写が絶妙ですごく共感できたし、特に誰もが経験ある人間関係の気まずさの部分がよく表現されていました。
登場人物が子どもの頃に過ごしていた場所の設定はまるで約束のネバーランドよう。
約束のネバーランドはこの話の設定パクったのかと気になりながらも読み進めました。
約束のネバーランドはアニメで途中まで面白く見ていたのに、最後ストーリーがダイジェストになっていてがっかりしたので、「わたしを離さないで」は最後まで面白く読めそうと期待が膨らみました。
私はあらすじを知らずに読んだので、まずは最初に出てくる「提供」が何のことかさっぱり分からず読み進めました。
読み進めていくと途中で「提供」が何のことか分かります。
でも「アダムの展示館」だったり「赤ちゃんを産めない」という謎がまた出てきます。
先生が生徒たちに「教わっているようで、教わっていない」と言うように、読み手も分かっているようで分かっていない、そんな状況で読み進めていく感じです。
後半に向かって色々と全体が見え始め、さらに引き込まれました。
丁寧な語り口調で書かれているので一見穏やかなようにみえて、内容はけっこう残酷なことが書かれてます。
最後は泣かずに読むことは出来ませんでした。
長編小説でしたが、それを感じさせない期待以上の作品でした。
あらすじを知らずに読んだのは正解だっかも。
最近読んだ小説の中では一番です。
なぜこの本が私の読みたい本リストに入っていたか記憶はないですが、すごくいい作品に出会えたのは事実です。
読み終えたあとは、この話が現実にならないよう願ってしまう、でももしかしたら私の知らないところで現実になってるんじゃないかと(全てではなく一部の要素で)疑いたくなる、そんな小説でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。